マグネティック・エコーマシーン( Magnetic Echo Maschine)「STRYMON VOLANTE」のレビュー。
経緯
先日、アナログモデリングのテープエコーを調べていて、気になったので。
なぜ、これにしたかというと、以下
・見たことの無いインターフェースがある
・エコータイプが選べる
・USB MIDI対応
・エコーに対するアプローチが独特
など
あと、リリースされて時間は経つのに、これと言った、一般ユーザーレビューが上がって無いし、未知数なので。
初見
STRYMONのエフェクターのイメージは、
・Bigskyのような、マルチエフェクター
だが、このVOLANTEは、見た目からして違う。
パラメータについて
REC LEVEL, MECHANICS, TYPE(Drum, Tap, Studio), TIME, SPEED(half, normal, double), REPEATS, ECHO LEVEL, LOW CUT, WEAR, Playback, SPACING, SPRING, ON(reverse, hold(∞)), FAVORITE (pause), TAP (spice, hold(sos))
入出力について
LEFT IN , RIGHT IN, LEFT OUT , RIGHT OUT, EXP, MIDI IN , MIDI OUT, USB
各パラメーターの紹介は、自分の理解も含めているので、BOSS RE-20と比較していきたいと思う。
読み辛い人は、すいません。
※RE-20のパラメータ名に関しては、今後(RE)で表現していく。
REC LEVEL
録音ヘッドへ供給される信号のアナログゲインをコントロール
INPUT VOLUME (RE)
MECHANICS
テープマシーンのメカニズムによるスピードの変化と、摩擦、折り目、つなぎ目や汚れ等のテープの状態をコントロール
※ポイント
TYPE
Drum:鉄ワイヤー音盤。ローからミッドの周波数が強調されたエコー。大きな信号や高いフィードバックでサチュレート
Tap:ビンテージエコーマシーンのタイプ。暖かく、クリーンなサウンド
Studio:スタジオオープンリールのクリーンなサウンド
TIME
ヘッド4のディレイタイムをコントロール
※ポイント
SPEED
half : 400ms – 4s
normal : 200ms – 2s
double : 100ms – 1s
REPEATS
フィードバックをオンにしたヘッドのフィードバックを調整
REPEAT RATE (RE)
ECHO LEVEL
ディレイ信号のレベルをコントロール
ECHO VOLUME (RE)
LOW CUT
低域周波数をカット
BASS (RE)
WEAR
高域周波数 の劣化を再現
TREBLE (RE)
※ポイント
Playback
各再生ヘッドのオン/オフを決める。ヘッドボリュームはボタンを長押しして、1/2ボリュームとフルボリュームを切り替え。
グリーンLED=フルボリューム
オレンジLED=1/2ボリューム
MODE SELECTOR (RE)
SPACING
ヘッド1〜3の 再生ヘッドのスペースを調整
※ポイント
SPRING
スプリングリバーブのサウンドをミックス
REVERB VOLUME (RE)
ON(reverse, hold(∞))
エフェクトのオン/オフを行う。ホールドするとリピートが無限に繰り返される
INTENSITY (RE)
※ポイント
FAVORITE (pause)
プリセットがリコールされる
TAP (spice, hold(sos))
タップテンポ
TAP (RE)
※ポイント
パラメータについては、サイトとマニュアルを参考に。
ポイントとなるのは、RE-20には無い、VOLANTE独特の機能かな。
BOSSのRE-20と比べて
ぱっと見た感じ、違うと感じるかもしれないが、結構似てる。
パラメータにしても、呼び名は違えど、VOLANTE の「LOW CUT」「WEAR」は、RE-20の「BASS」「TREBLE」に近いし、その多のパラメーターも、お互い置き換える事ができる。
しかし、VOLANTEの方が、自由度は高い。
RE-20(El Capistanかな)の、機能を分解し、モジュレーションに必要な各パラメーターを、ツマミ、ペダルに置き換えた感じだ。
いうなればアップデート版。
機能を追加した、拡張版といったところだ。
RE-20を使用している人なら、解ると思うポイントが、多数散りばめられているので、使いながら理解していくと、楽しいと思う。
開発者は別の意図で開発していると思うが、あくまで理解しやすいように、個人的な考えで置き換えているので、初めて触る方は、マニュアルやサイトを参考にしてください。
Sound on Sound mode
VOLANTEのルーパー機能。
使った感じでは、もう一つのディレイプリセットといった感じだ。
VOLANTEを通すと独特のアンビエンスが付くので、ギターのフィードバックや、シンセ音などをサンプリングすると、楽曲に厚みを付ける事ができるので、良いと思った。
あと、reverseを押せば、逆再生になるし、Pauseを押せば、ストップするので、フットスイッチだけでの演奏も可能だ。
INST/LINEスイッチ
ギターでの使用を想定してデザインされているのだろうが、ステレオに対応しているし、パラメーターも多いので、マシンライブやスタジオなどの、卓上で使う事に向いている。
INST/LINEスイッチが付いているという事は、そういう想定でも作られているという事だろう。
USB MIDI
一旦、認識確認のみだが、電源を入れて、Windows10にUSB接続した。
特別ドライバをインストールしなくても、VOLANTE を認識した。
(USBケーブルだけ挿してみたが、VOLANTE は起動しなかったので、USBからの電源供給は無し)
Ableton Liveからは、VOLANTE Input, Outputとも認識していたので、まあOKとする。
・MIDI機能をフルサポートするMIDI in/out
・MIDI via コンピューターがUSBから可能
とあるのと、ケーブルが付属されているので、MIDIのサポートは万全といったところだろう。
ここは、今後、詳しく使いながら評価していきたい。
Footswitch Hatが利用可能
以下のフットスイッチハットが利用可能なので、早速、取り付けた。
自分は手で押すことが多いので、 フットスイッチハットは必須だ。
総評
満足。
RE-20と置き換えて、使ってみようと思う。
音作りの幅が広い分、即興の際はコントロールが難しくなるが、それも含めて楽しんでいければ。
まあ、徐々にクセは掴めてくるだろう。
アナログモデリングの技術の進化には、感嘆する。
懐古主義では無く、過去をアップデートし、新しい楽器へと進化している。
アナログも良いのだが、やはり如何にデジタル技術を取り込み、音楽をアップデートしていくかを、自分としては、追い続けていきたいと思う。
新たな名機が誕生したと思っているが、みなさんはどうだろうか。